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ケニアからの手紙    

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夏号VOL.4 日本ケニア交友会 発行人:丸川 正人 2007年8月9日発行

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★丸川さんからのメッセージ

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農薬不使用の施行に関する、或いは、農薬を使わないよう監視、もし必要ならば説得するシステムは以下のように構成されています。

まず、工場に、農民から直接選ばれた代表(重役)6名と工場関係者によるQuality Control Committee(品質管理委員会)が置かれています。

さらにその下に、44ヶ所ある工場へ茶葉を供給するBuying Center(茶葉集荷場)にも、上記の小委員会が置かれています。

44ヶ所のBuying Center自体、その地区の農家に選ばれた、工場とは別の約6名の代表がいますが、

これは彼ら、および工場から派遣される茶畑担当の技術アドバイザーからなるQuality Control Committeeの小委員会です。

この人たちは約100戸からなるBuying Center所属の紅茶農家を、よく知っていますので、彼らが監視にあたることになります。

もし、違反した農家があった場合、中央の委員会に報告されます。説得を拒否した場合には、工場による茶葉買取拒否という厳しい罰則となります。

紅茶農家は工場所有者であると同時に、その工場だけに所属していますので、他の工場に販売することは法律的にも、実際的にも全く出来ません。

貴重な現金収入が奪われるのですから、農村地域では非常に厳しい罰則です。もっとも、めったにある事ではありませんが、

4700戸を相手にするとなると、やはり中には変わり者、へそ曲がりがいますから、こうした規則も決めておかねばなりません。

紅茶の品質を向上させるという、この委員会の本来の役割の中には、農薬の扱いに対する指導も含まれます。

野菜等を栽培している農家では、農薬を使用しているところがありますので、その使用に関しては茶畑、

摘み取った茶葉に影響のないように、厳格に扱ってもらわなければなりません。

それ以前に農薬は本来毒ですから、慎重に取り扱い規則を守らねば、使用する本人、また家族に害が及んでしまいます。

そうした指導もQuality Control Committeeが行うべき役割となります。

実は2〜3年前に、利益の一部を地元に還元するという意味で、工場に茶葉を供給するこの地域の小学校に、

約8万円(5万Ksh)ずつを寄付していたことがあります。この地域には17の公立小学校がありますが、

当然ながら紅茶農家の子供たちが通っているのですから、地区の中心的役割を果たしているといえます。

その小学校での「寄付金贈呈式」で、私から、また日本の消費者からの要望・お願いとして、「農薬不使用」をアピールしてきました。

17校中、13校まで進んだ段階で資金が尽きてしまい、2年ほど前から中断していたのですが、

今回、新たに寄付をしてくださる方のメドがつき、第14番目の小学校から寄付を再開できることになっています。

その小学校での寄付に、単なる「農薬不使用」のアピールだけではなく、

紅茶への農薬不使用、農薬管理、品質向上のための各種指導を含めた、品質管理委員会のセミナーをひっつけようと計画しています。

寄付があれば、生徒の親である紅茶農家の人たちも集まるし、セミナーでの指導・要望・お願いにも聞く耳を持ってくれるだろう、というわけです。

取り残されていた残りの4小学校は、随分待ったらしく、Chairmanのムレディさんに何回も催促の問い合わせがあり、

Chairmanを困惑させていたのだそうです。17校を1周した後は、2周目を始めることになります。