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3月4日、朝6時に中央アフリカ共和国のバンギに到着。気温が26℃と機内放送があった。 前日のパリは冷え込み1度であった。3ー4枚も重ね着をしていたため飛行機から降りると暖かい空気に包まれ汗が流れた。 沿道にはマンゴが並んでいる。マンゴが熟し始めると雨季の始まりである。
診療所は、多くの患者で賑わっている。賑わっているという表現は、日本の病院では適切ではないが、 「友の会」の診療所では、なぜか賑わっているという表現がぴったりする。 笑い声、話し声、子どもたちが駆け回る、子どもの泣き声、ラジオの声と市場の賑わいのような感じがする。 エイズ患者の悲壮な表情、か細い訴えはこの雑音の中に打ち消されてしまう。 診療所のこの賑わいは、結核患者やエイズ患者など慢性疾患の患者を扱っているからだろう。 結核は8ヶ月の内服治療が必要であり、彼らは週一回薬をもらいに来る。 回復期にある患者は病人とは思えないほど元気である。 エイズ患者は、月に一回、診察をかねて1か月分の薬を取りに来る。 エイズ患者もエイズ薬で病状が安定している患者は健康そのものに見える。 そのような患者が集まってくるので、患者同士のサロンのような雰囲気がある。 昨年の結核の新患者は780名、エイズウイルス感染した新患者は383名で1993年に活動を開始してから累積患者は9900名である。
この国では、結核とエイズの薬は全て「世界基金」からの援助に頼っている。
エイズは未だに特効薬がなく血液中のエイズウイルスの量を減らし、 エイズの発症を抑える薬で、患者は薬を生涯飲み続けなければならない。 しかし、その薬が2月初旬より不足している。
友の会の診療所では、エイズ薬の治療を受けている患者は350名いる。 「世界基金」は先進国のG8の国々が資金を出して、世界の三大感染症である「エイズ・結核・マラリアの対策」を支援している基金である。 その6割がアフリカ地域に分配されている。
なぜ、薬が不足するのか、それはこの国の管理体制にあるようだ。
昨年までは、国連開発計画が管理していたが、現在は、この国の保健省が管轄している。 「世界基金」から送られてくる資金の流れが不透明で薬を購入する資金が不足しているという噂があるが真偽はわからないままである。 エイズ薬を1ヶ月以上中断することは、患者にとっては生死に関わる問題である。 病状の再発や薬の耐性の問題がある。保健省は、患者達の抗議に応えて、薬を購入した。 その薬が3月10日に診療所に届いたが、1か月分にもみ足らず、押しかけた患者に2週間分を渡し納得してもらった。 薬はもうすぐ大量に届くと保健省は説明しているだけで日にちは知らされない。患者の不安を思うと私も穏やかではない。
診療所では、2005年よりエイズ薬の治療を開始したが、これまでにも薬の不足は数回経験した。 患者たちは命の薬であるエイズ薬を、外国に依存するのではなく、 自分で購入できるように患者が自立できるように援助してゆくことが、患者の命を守ることになる。 そのために、友の会では患者の自立支援としてマイクロクレジットに力を入れている。 続く
NGOアフリカ友の会 徳永 瑞子
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