イブとムサとの別れは、「また、来週ね」といつも週末に分かれるのと同じく淡々と別れたが、もう2度と会えないだろうという思いがこみ上げ、彼らが診療所を去った後から涙が溢れた。彼らが父親の祖国マリ共和国の叔父さんに引き取られることが決まってから、養母である祖母は毎日泣いていた。
マリ国の田舎でエイズの継続治療は可能なのか、気候も食習慣も異なる地で養母から切り離され、生活に順応してゆけるか心配は尽きず、私たちは叔父さんに対して子供がかわいそうだと怒っていた。祖母は「イスラムの社会では、女性の意見は聞き入れられない。
孫たちはHIVの陽性者だから、その村の診療所にエイズの薬があるのか叔父さんに聞いても返事をしない」と言っては大粒の涙を流した。
私は、飛行機の旅だと思い込んでいたが「長距離バスを乗り継いで行く」と聞いた時、それは冒険家がすることで、子どもでしかもエイズ患者がすることではないと私は激怒した。
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*アフリカ友の会がイスラム教徒の小学校で
HIVの啓発教育をしたときの写真です。
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