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第9回 【NGOアフリカ友の会】現地報告 「エイズの薬を中断する理由」
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2006年から「世界基金」の援助によりエイズ薬の治療を開始しました。エイズの治療によりエイズで亡くなる患者さんの数が激減しました。昨年確認した死亡者は31名です。友の会の診療所でエイズの治療を受けている患者さんは約750名です。この治療により、エイズ孤児が減ったこと、体力を回復し職場に復帰でき家族の扶養ができるようになったなどこの薬は「奇跡の薬」となりました。しかし、この治療が2−3年と続いてくると治療を放棄する患者さんがいます。彼らは体調に異変を感じてから診療所に来ます。発熱、下痢、頭痛などの軽い症状であればよいのですが、衰弱して運ばれてくる患者さんがいます。重症化した患者さんの場合、エイズ薬に耐性ができて、薬を変更せざるを得ない場合があります。また、最悪の場合は死に至る患者さんもいます。
昨年8月、治療を放棄した患者さんにその理由を知るために、話を聞きました。放棄した理由が一番多かったのは「仕事のため診療所に行けなかった」でした。その状況は、雨季の期間中農業をするために畑の近くに住みこんでいるため、長距離トラックの運転手をしているため、商売人で近隣諸国に仕入れに行ったため、店番をする人売ないためなどでした。次に多かったのが「村に戻っていた」その理由は、両親の病気、親の葬式、生活苦で両親のもとに行っていたでした。三番目は「交通費がなかったので診療所に行けなかった」でした。中には、「治ったと思った」「体調が良かったので飲まないでいいと思った」という答えに驚きました。エイズは、特効薬がないので内服治療は生涯続けねばならないこおとは十分教育している筈でしたが。
彼らに「エイズは、どんな病気ですか」と聞くとほとんどが「死の病」ですと答えます。エイズを死の病として恐れていながら、仕事を優先して治療を放棄していることが分かりました。死を恐れながら死期を早めるようなこと、つまりエイズの治療を放棄してしまうことがなぜ起きるのかが問題です。社会保障制度が整っていないこの国では、患者さんたちは、男性も女性も家族を扶養するために働かなければなりません。働くためには、治療を続けねばならないということまで意識が及んでいないと思います。意識が高い患者さんは、自分が診療所に来られない時は、家族が薬を貰いに来ています。治療を放棄する患者さんの根本にある問題は「貧困」です。「貧困」は、エイズの患者さんに共通のする問題で、治療を放棄するかしないかは、患者さん自身の認識の問題です。彼らは、エイズを単に死の病として恐れているだけで、この病の真の恐ろしさを認識できていません。治療放棄により、症状が増悪することが「死の病」につながるのです。 家族を扶養するために仕事を続けてゆくためには、治療を続けることを最優先すべきであるという認識を持たせねばなりません。 そのためには、私たちがやるべきことは、家族の協力を得ることだと思います。患者さん自身を教育するのではなく、家族に治療継続の必要性を話す機会を設ける必要があると考えています。
徳永瑞子
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