「アフリカ友の会」の徳永瑞子さんより
現地報告いただきました。

第13回 【NGOアフリカ友の会】現地報告
外務省の渡航情報


 ここ10年間、2月末から1か月ほど中央アフリカ共和国に行くのは、恒例になっていた。
今年もそのつもりで準備していたが、外務省の「退避勧告」のため渡航を諦めざるを得なかった。中央アフリカ共和国は昨年12月中旬から反政府勢力の動きが活発になり、外務省は12月28日付けで、中央アフリカ共和国全土に「退避勧告」をだした。それ以来、2か月余「退避勧告」出たままである。

 1月中旬ガボン共和国の首都リーブルビルで政府軍と反政府軍との間で和平協定が成立した。2月上旬には、双方のメンバーからなる組閣人事が行われ、新政府も動き出し、退去していた国連職員も中央アフリカ共和国に戻り始めた。私は頻回に外務省の渡航情報をチェックしているが「退避勧告」のままである。

 現地職員からの情報だと、市場の賑わいも戻り住民の生活はほぼ平常に戻っているという。しかし、外務省の中央アフリカ共和国に関する渡航情報は、12月28日以来更新もされていない。1月に入り和平交渉が行われ状況は大きく好転したが、渡航情報の変更はない。中央アフリカ共和国に関わっている者としては、日本政府からの情報や見解が欲しくて、毎日ホームページを開いては、更新されない画面にため息をついている。

 2008年、ペシャワール会の伊藤和也さんが殺害されたとき、政府・マスコミ・一般人から「NGOの危機管理は甘い」とバッシングを受けた。確かにNGOは、国連機関や政府機関のように脱出用の専用機も持たず、警備に使える資金も限られている。そのためにNGOは、草の根で住民とかかわりながら、彼らからの情報収集は密に行い早め早めの危機対応を行っているつもりである。

 また、1月に起きたアルジェリアの日本人殺害事件に驚愕した。この事件は、日本人にアフリカの恐怖を植え付けるのに余りあるものであった。私の周りの人たちまでも「アフリカは危ないから止めたほうがいいよ」と言うようになった。アフリカには54か国あるが、日本人にとってはすべてが「アフリカ」で語られる。アルジェリアの事件で、アフリカの国々に対する危険度が高止まりしているのではないかと私は考えている。危険が予測される地域に行くつもりはないが、現地の政治情勢は日々変わっているので、頻回に渡航情報を更新してほしいと思う。変化がなければその由を書いて更新してほしい。中央アフリカ共和国は、日本大使館もなく滞在している日本人は数名であり、日本政府にとっては、外交上重要な国ではないと思われるが、中央アフリカ共和国に拠点を置いている民間団体としては、渡航情報は今後の活動の展開を左右するような大きな問題である。

 中央アフリカ共和国に平和が戻ってくる日を一日千秋の思い出待ちたい。


2013年2月26日  徳永瑞子



新刊『アフリカの詩―看護師 徳永瑞子の日本へのメッセージ』
   徳永瑞子著

徳永さんが活動の中からうみだした言葉と写真は、
深く心に響きます。




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